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コミュニティ・バンク京信

【京都モダン建築祭】菊竹建築から知る「コミュニティ・バンク京信」

「京都モダン建築祭」は、京都に現存する明治以降の歴史ある建築を期間限定で一般に公開する建築イベントです。普段は見ることができない建物内を特別に見学できたり、ガイドによるツアーで建物の特徴や歴史を学べる、建築の祭典です。

当金庫の支店建築も、1970年代に活躍した建築家 菊竹 清訓(きくたけ きよのり)氏が手掛けた京都を代表するモダン建物として「京都モダン建築祭」にて特別公開しています。2022年から始まったこの祭典は、今年で4回目の開催となりました。

2025年度は11月1日(土)から11月9日(日)までの期間で一斉公開され、京都市内各所でモダン建築に関する様々な催しが行われました。今年度、当金庫ではこの祭典をきっかけにより多くの方に「当金庫の理念や取組を知ってもらいたい」という想いから、京都モダン建築祭の特別イベントとして「トークセッション」と、過去の支店建築(菊竹建築)の写真を紹介する「パネル展」を企画しました。

今回は「京都モダン建築祭2025」での当金庫の取組をご紹介します。

菊竹清訓氏が手掛けた支店建築も特別公開

京都モダン建築祭には、建築祭パスポートを用いて自由に公開建築を見学できる「パスポート公開」と、専門家や地域の関係者による「ガイドツアー」を通して特定の建築物が見学できるプログラムがあります。

2025年度はガイドツアーのプログラムの中で、当金庫の3つの支店を限定公開しました。

そのうち、北野支店は1977年に建設された菊竹氏による建築です。北山支店は2022年にアンブレラ・ストラクチャーの形を残してリニューアルオープン。西陣支店はかつての店舗が菊竹氏による建築でしたが、老朽化に伴い、2019年に新築オープン。新旧を比較することで当金庫の支店建築の歴史や違いを感じていただける見学プログラムをご用意しました。

北山支店(2022年にリニューアルオープン)

北野支店(1977年以来、現存する菊竹建築)

西陣支店(2019年に新築オープン)

【アンブレラ・ストラクチャー】とは、その名の通り傘の下に多くのコミュニティが集まることを象徴しており、この北山支店においては景観面では盆地の周囲や山並み、家並みに溶け込みやすいという特徴を持っています。

コミュニティ・バンク京信と建築家・菊竹 清訓

1971年、当金庫は国内の金融機関として初めて「コミュニティ・バンク」を宣言しました。

資金ばかりでなく、「資金と共に情報を、資金と共に知恵を、資金と共に人を、資金と共にシステムを」地域に提供することを通じて、地域の人と事業との接触をあらゆる面で深め、地域社会との真の意味での共栄をはかるのがコミュニティ・バンクの使命である。

(CDI代表 川添登・榊田喜四夫 「コミュニティ・バンク論 ー 地域社会との融合をもとめて」 京都信用金庫、1973年、P.27より抜粋)

同年、当時の理事長 榊田 喜四夫氏は「コミュニティ・バンク」の考え方に基づき、新たな京都信用金庫支店群の設計を計画。その計画の中心を担った人物の一人が菊竹 清訓氏でした。

菊竹氏は1971年竣工の「城陽支店」を皮切りに、アンブレラ・ストラクチャーを用いて「コミュニティ・バンク」の理論を具現化。金融機関でありながら地域住民とのつながりを創出する場として設置された「コミュニティスペース」は、まさに「コミュニティ・バンク」の実践の場となっていました。

写真:北野支店 コミュニティスペース(1977年-1978年) 子供図書館 植木の家具に座り絵本を読む子共達

近年、老朽化や耐震の事情で建替えせざるを得ない状況にある菊竹建築ですが、コミュニティ・バンクの精神は「QUESTION」にも受け継がれています。

2020年にオープンした共創施設「QUESTION」は“ 様々な人の「?」が集まる場所 ”をコンセプトに、複雑多様化する地域の社会課題や問いに対して、皆で「寄ってたかって」ともに考える空間を創出しています。

QUESTIONで「京都モダン建築祭 特別イベント」

当金庫では「京都モダン建築祭2025」にて、菊竹氏が設計した支店建築や、共創施設「QUESTION」、それらの根底にある理念「コミュニティ・バンク論」にまつわる特別イベントを開催しました。

コミュニティ・バンク京信×京都モダン建築祭のトークセッション
「コミュニティ・バンク論をめぐる建築思想ーメタボリズムーと地域の未来を語ろう!」

4階コミュニティステップスでは、半世紀以上も前に提唱されたコミュニティ・バンク論を振り返りながら、まちづくりや金融機関の役割、地域との接点、その中での建築のあり方について多角的に語るスペシャルトークセッションを実施しました。

第1部「問いの原点をたどる─コミュニティ・バンク論からQUESTIONへ」

第2部「次世代と会場で描くアップデート─コミュニティ・バンク2.0の可能性を探る」

◆過去の支店建築を紹介するパネル展「コミュニティ・バンクの空間をめぐる」

7階クリエイティブコモンズでは、菊竹氏が手掛けた当時の当金庫の支店建築を写真で紹介する「パネル展」を実施!
展示を通して、コミュニティ・バンク論の紹介とその精神を体現する菊竹建築、そして、それを受け継ぐQUESTIONの取組を紹介しました。

京信×菊竹清訓氏の歴史をめぐる QUESTION館内ツアーも実施!

当日は、事前に予約申込をされた方限定で、当金庫と菊竹氏との出会い・関係性や、当時の支店建築の特徴、そしてQUESTION誕生の経緯や特徴・各階の役割を紹介するツアーを実施しました!

金融支援に留まらず、地域の人と人、事業と事業をつなげることでコミュニティの発展や、地域課題・事業課題の解決を目指す当金庫。それらを実現するための拠点として建てられた「菊竹建築」「QUESTION」の根底には、コミュニティ・バンクの理念があります。

当金庫はこれからも、その理念を基に地域と人に寄り添う金融機関として取り組んでいまいります。

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