コミュニティ・バンク京信では、「ソーシャル企業認証制度 S認証」(S認証)の認証取得をサポートするSCA(ソーシャル企業認証アドバイザー)としての活動を行っています。
S認証は、一般社団法人 ソーシャル企業認証機構が運営する企業認証制度。社会課題の解決やESG経営を目指す企業に対し、経営方針や事業内容、社会的インパクトなどを基準に、評価・認証を行います。
この「キラリと光るS認証企業」シリーズでは、そんな「S認証」を取得した企業や、それをサポートしたSCAである当金庫職員の取組をご紹介します!
Vol.7 株式会社 西鶴
今回ご紹介する株式会社 西鶴さまは、霊園「ハピネスパーク」の運営や墓石の販売を業とする会社です。
同社の理念は、「お客さまに満足していただくことを考え、『ハピネス』を全顧客に提供する」こと。人それぞれ幸せの釈度が異なるからこそ、少しでも多くのお客さまに感謝、感激、感動を与えることのできる会社であり続けることを大切にされています。
▼西鶴さまの公式webサイトはこちら
https://e-saikaku.co.jp/
始まりは一つの相談から
同社の代表取締役社長である山本さまが現在の事業を始めたきっかけは、縁があったお寺の檀家の方々からの相談でした。それは「墓地(土地)はあるものの、お墓を建てるための石材店の探し方もわからないし、お墓を維持管理していくための知識もない」というものであり、当時別の事業を営んでおられ、経営の感覚もあった山本さまへ、藁にもすがる想いで相談されたのでした。
山本さまはこの檀家の方々のお悩みを解決するために、墓石の販売事業をスタートさせることを決意。株式会社 西鶴が生まれた瞬間でした。
お墓は「しあわせの場」
こうして西鶴として新たなスタートをした山本さま。墓石業界に飛び込んでしばらくしたころ、山本さまにとって忘れられない出来事が起こります。それは、お客さまから「ありがとう。こうして亡くなった家族に会えるのは、あなたがお墓を建ててくれたおかげです。」という、感謝の言葉をかけられたこと。以前の事業をしているときにはかけられなかった言葉で、山本さまはもったいないほどの言葉だと感じると同時に、お墓を建てる人にとって、それがどれほど大切なものなのかを改めて感じ心を打たれました。
お墓は大切な家族が眠る場所であり、今を生きる人たちにとっては愛する家族と会話をするための場所。そして、家族とつながるための場所です。
故人を想い、そんなお墓を建てようと相談に来られるお客さまと接するうちに、山本さまはお墓は「しあわせの場」であると感じるようになりました。
そんな"しあわせの場"であるお墓ですが「暗く寂しい」「階段や段差が多く歩きにくい」「トイレは薄暗い」などの陰気なイメージが付きまとい、年々お墓離れが進行しているといわれています。そこで山本さまは、このイメージを払拭し、何度も足を運びたくなるような霊園をつくろうと決意されました。
"しあわせな霊園"を目指した「ハピネスパーク」
この想いからオープンしたのが『ハピネスパーク牧野霊園』と『ハピネスパーク交野霊園』です。
このハピネスパークには現代のお墓離れを解消し、お客さまに「ハピネス」(しあわせ)を提供するさまざまな工夫や取組があります。
①バラの咲く霊園
お墓のイメージを覆し、足を運びたくなるお墓にするための取組に悩まれていたとき、東京でバラの咲くお墓が大ヒットしているというニュースを目にし、すぐにそのお墓を訪ねた山本さまは「なんて美しいお墓なんだ!」と感銘を受けられました。そして「関西にもこんなお墓を作りたい!」という強い想いが芽生え、戻ってすぐに、その想いを行動に移されました。
しばらくしてバラ園が完成すると、霊園はこれまでのイメージとは一変し、明るく華やかな雰囲気に包まれました。それだけではなく、当初は霊園を創ることを反対されていた地域の方がバラを見に来られたり、写真を撮りに来られたりするようになり、多くの方が訪れたくなる明るい雰囲気の霊園となりました。
②誰もが来園しやすい環境を整える
ハピネスパークでは、お墓離れの要因の一つである"階段や段差が多い"という墓地のイメージを払拭するために、霊園内の通路を平坦にし通路幅を広く確保しています。その結果、車いすの方や小さなお子さまでも霊園に訪れやすい環境を整えることができ、お墓離れを防ぐことに成功。また、車いすの方やオストメイト(人工肛門、人工膀胱の方)対応のトイレを設置することで、多くの方が訪れることのできる霊園へと生まれ変わりました。
他にも、お墓からの距離が50歩以内になるように水場を多く設置し、重い水を運ぶ負担を減らしたり、蛇口を低い位置に付けることで車椅子の方や子どもでも使いやすくしたりするなどの工夫もされています。
③子どもの記憶に残る霊園
ハピネスパークでは、この霊園にお墓参りに来た子どもたちが大人になっても、記憶に残るような工夫をしています。例えば、事務所の横には遊具があり、子どもは親の打ち合わせ中も遊具で遊びながら待つことができます。また、この遊具は応接スペ―スから見える位置に設置されているため、安心して、納得がいくまで「しあわせの場」であるお墓について相談することができます。ほかにも、水道蛇口の蛇口ハンドルがじょうろや鳥の形になっているなど、子どもたちのワクワク感を掻き立てる工夫があらゆるところに施されています。
④出会いと別れの場である電車を設置
そして、もう一つの工夫が、霊園に佇む1両の電車です。
霊園に電車を設置するきっかけとなったのは、開園当初のハピネスパーク交野霊園に法要施設がなかったことでした。
当時の山本さまは、お客さまに喜んでいただき、長く愛される法要施設をつくりたいという想いをお持ちでしたが、交野霊園にはそれを実現するための十分なスペースがないこともあり、葛藤の日々を送っておられました。
そんなとき、山本さまはある演劇を観たことをきっかけに、法要施設として電車の車両を設置するというアイデアをひらめきます。
その劇は【死にゆく人が、駅員さんから"思い残し切符"を受取り、電車に乗って旅立つ】という物語。この演劇に限らず、アニメや映画などの様々な物語でも、電車は旅立ちを象徴するものとして、ときには生死の境目として表現されることに思い至った山本さまは、使われなくなった電車車両を再生し、法要施設とすることを決意されたのでした。
そして山本さまがそう思い立った矢先に、なんと京都市電の車両譲受者募集があり、西鶴さまに譲渡が決定。ハピネスパーク交野霊園に設置されることとなりました。
その後、この電車車両型の施設は他の霊園にも設置され、応接室や、休憩スペースとして、また子どもたちの記憶に残る場所として、多くの来園者に利用されています。
樹木葬の「千年オリーブの森」
これらのハピネスパークのハピネスな部分を引き継いで、2018年には樹木葬専門の霊園「千年オリーブの森」がオープンしました。
一般的に樹木葬は"桜の木"が使用されることが多いのですが、この霊園内ではスペインやイタリアから取り寄せた樹齢1000年の「オリーブの樹」を植栽。
オリーブの樹は、西欧において「平和」「繁栄」のシンボルとされており国連、WHO、オリンピックのシンボルマークやメダリストに贈られる草冠にも使用されています。また、オリーブの樹は葉が落ちず、毎年実がつき、生まれ変わりを繰り返す樹木。
オリーブの樹はまさしく、平和の樹木であると感じた山本さまは、樹木葬の樹はこのオリーブの樹以外にはないと確信されました。
そうして、3000年の寿命をもつといわれるオリーブの樹で、生まれ変わりを見守ってくれる霊園「千年オリーブの森」が誕生しました。
霊園とは思えないイベントの数々
ハピネスパークでは、四季にあった方法で故人を想うことや、来園者をおもてなしすることに尽力されています。
たとえば、母の日にはカーネーション、父の日にはひまわりをすべてのお墓に飾り、故人への感謝の気持ちを伝えておられます。また、8月のお彼岸の時期には「萬灯祭・お盆合同供養祭」を開催。これは、亡くなられた方たちを見送るために100本以上のキャンドルを霊園に灯したり、プロの歌手によるミニコンサートを開催したりする、毎年200名以上の来場がある人気イベントの一つです。
ほかにも、クリスマスにはサンタクロースの姿に、節分には鬼の姿に扮したスタッフが来園者を出迎えるなど、お墓参りを楽しんでいただくことができるように取り組まれています。
来園者の方に「ハピネス」を提供し続けることで、社会課題になりつつある「お墓離れ」を解消しようと挑戦を続けられている西鶴さま。お墓のイメージを覆すだけでなく、多くの方に幸せと感謝を感じていただける霊園にするために、西鶴さまの取組はこれからも深化していきます!
お客さまの声
株式会社 西鶴
代表取締役社長 山本 一郎 さま
京信さんより提案をしていただき、S認証を取得いたしました。S認証を取得していることをHPに掲載していることもあり、知り合いの経営者から「西鶴さんも取得されたんですね」「見たことあるよ」と声を掛けていただくことが増えました。このようにS認証の輪が広がっていけばいいなと感じております。
これからも"お客さまが喜ぶことだけを考える"という社内風土を大事にしながら「このお墓に来てよかった」と思っていただけるよう、常にイノベーションを繰り返していきたいと思います。
職員の声
コミュニティ・バンク京信 くずは支店
ソーシャル企業認証アドバイザー(SCA)
中西 健一郎
西鶴さまは、家族でいつでも気軽に行ける空間、特に子どもに「お墓参りに行こう」と言ってもらえるような場所を目指し、常に挑戦し続け『完成しない霊園創り』をされています。
「相手」に喜んでいただくのはもちろん、それ以上に「複数の人」が喜ぶことは何かと考え、霊園の名称でもある「ハピネス」を追い求めておられます。
時代が変わり、今までのやり方が通用しなくなった今、若者たちに活躍の場を与え、仏事業界を変革する先駆者の取組に寄り添い、地域社会のソーシャルマインドの醸成に繋がるようサポートしていきたいと思います。