プログラミングで

「専門性」と「生き抜く知恵」の「自走支援」を

◇NPO法人 CLACK◇キラリと光るS認証企業 Vol.2

京都信用金庫では、ソーシャル企業認証制度 S認証」(S認証)の認証取得をサポートするSCA(ソーシャル企業認証アドバイザー)としての活動を行っています。

S認証は、一般社団法人 ソーシャル企業認証機構が運営する企業認証制度。社会課題の解決やESG経営を目指す企業に対し、経営方針や事業内容、社会的インパクトなどを基準に、評価・認証を行います。

この「キラリと光るS認証企業」シリーズでは、そんな「S認証」を取得した企業や、それをサポートしたSCAである当金庫職員の取組をご紹介します!


Vol.2 NPO法人 CLACK

認定NPO法人 CLACKさまは、大阪を拠点に活動される特定非営利活動法人です。

「生まれ育った環境に関係なく、子どもが希望とワクワクを持てる社会」をビジョンとされる同法人では、経済的な貧困の状態にある高校生を対象に、無償でプログラミング学習支援とキャリア支援を実施。
彼ら・彼女らが自立・自走できる力を身に付けるためのサポートを行っています。

▼CLACKさまの公式webサイトはこちら
https://clack.ne.jp/

困難を抱える高校生に自走支援を

世界を代表する先進国の一つである日本ですが、「貧困」という言葉と決して無縁ではありません。厚生労働省の調査によると、日本の子どもの7人に1人が貧困状態にあるとされています。
そして、親の年収が子どもの学歴や将来の雇用形態に影響を与え、大人になったときの年収にも格差が生まれるという悪循環が生まれているともいわれています。

そんな「貧困の連鎖」を断ち切ることを目指してスタートしたのが、CLACKさまが実施する高校生向けプログラミング教室「Tech Runway」です。

「Tech Runway」は、授業料や、パソコン本体を含めた教材費が完全無料で、交通費も一部支給されるプログラミング教室。義務教育を修了し、公的な支援から漏れてしまう子どもたちが多い高校生が対象です。

経済的に困難な状況にある高校生たちが、21世紀の「読み書き」であり「そろばん」であるプログラミングのスキルを身に付けることで、将来のキャリア形成につなげ、貧困から脱することを目的としています。

プログラミング教室の様子
プログラミング教室に加え、キャリア支援も行う

原点は自身の経験

CLACKの理事長、平井さまが現在の活動を開始されたのは、2018年のこと(その後、2019年に法人設立)。その原点は、「自分と同じような境遇の子どもの力になりたい」という想いでした。

平井さまの両親は飲食店を経営されていましたが、平井さまが中学生の頃に事業が立ち行かなくなり破産を選択。その後、両親は離婚し、裕福とはいえない学生生活を送ってこられました。

そんな経験から、大学生時代には困難な状況にある子どもたちの学習支援に携わられますが、一時的な支援では「逆境を乗り越える力」が鍛えられず、将来つまずいてしまうと痛感。そして辿り着いたのが、高校生が自走していくための「専門性」と「生き抜く知恵」を身に付ける「自走支援」でした。

CLACK理事長の平井さま

共感で広がる活動の輪

そんなCLACKさまの活動には多くの共感が集まり、多様なプレイヤーが連携して活動を行っています。

例えば、「Tech Runway」で高校生が使用するパソコンの多くは、IT企業などが設備更改で使用しなくなり、寄付したものです。

この取組は「パス・ザ・バトン」と名付けられており、日本のIT業界の未来を担う若者を支援するCLACKさまの活動は、多くのIT企業から共感を得ています。

パソコンは講座を修了した時点で高校生に譲渡されるため、最後までやり切ることへのモチベーションにもつながっているといいます。

支援を必要としながらも、自分から声を上げることができない子どもや保護者も多いなか、CLACKさまは学校との連携も重視されています。

本当にサービスを必要としている子どもたちやその保護者に情報を届けるため、高校でプログラミング体験会を実施。

VR(仮想現実)やドローン、オリジナルのプログラミングカードゲームなどを使用した体験会は、プログラミング未経験の高校生が楽しみながら興味を持てるよう工夫が凝らされています。

社会的インパクトの最大化に向けて

これまでに延べ1500人以上の高校生に支援を行ってきたCLACKさまは、更なる社会的インパクト(社会への良い影響)の創出に向けて、様々な挑戦を行われています。

その一つが、省庁や自治体への政策提言。CLACKさまの活動を一つの「モデル」として政策に取り入れることを働きかけ、より多くの人たちに支援を届けることを目指されています。また今後の展望として、自団体が持つノウハウを同じ想いを持つ団体等と共有し、同様の取組を全国100拠点に広げたいと考えられています。

さらに、これまで「貧困状態にある高校生」に限定していた対象を「不登校の子どもたち」に拡大したオンラインプログラミング講座「チリツモ」も開始。より多くの子どもたちに支援を届けるとともに、「チリツモ」を有償プログラムとすることで、「Tech Runway」の持続可能な運営にもつながっています。

行政との関係構築が取組の広がりを生む
不登校の中高生を対象とした「チリツモ」


お客さまの声

認定NPO法人 CLACK
理事長 平井 大輝さま

大学生時代、教育支援NPOで活動していたときに、目の前で困っている人を支援することに加え、多くの人を支援できるような「モデル」をつくることが大切ではないかと感じ、現在の活動を始めました。
今後は、「Tech Runway」のモデルを日本全国に広げることで、より多くの子どもたちに支援を届けていきたいと思っています。

SCAの小田切さんからS認証の案内を受けたときは、他の金融機関では聞いたことがないような取組だったので、京信さんのユニークさを感じました。

今回S認証を取得したことが、「社会的なことをしたいけど、どうしていいかわからない」という課題や、私たちと同じような事業を立ち上げたいという想いをお持ちの企業・団体とつながるきっかけになれば嬉しいです!

 


職員の声

京都信用金庫 新大阪支店
ソーシャル企業認証アドバイザー(SCA)

小田切 暢哉

CLACKさまの事業はまさに「ソーシャル」だったので、迷いなくS認証をご案内しました

S認証によってCLACKさまの素晴らしい取組をより広く発信し、団体の価値を高めることに活用いただければと思っています。

就職活動中の学生や取引先など、多くの主体が、企業・団体の「ソーシャル」な部分に注目しています。

これからもSCAとしての活動を通じてお客さまの事業の価値を見える化することで、事業や活動をサポートしていきたいと思います。

事業への伴走支援 その他の事例 PROJECTO METHOD