産学連携支援で

新商品の開発をお手伝い

産学連携×京都離宮~おだしとだしまき~ 学生の力でお出汁の魅力をもっと広げる

京都南インターチェンジを南下すると目に飛び込む大きな水車。一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

1974年創業の「美ね寅」さまはうどん・丼物から会席料理まで取り揃えた、幅広い世代向けの和食レストランです。同店を運営される株式会社プレメーズさまは創業以来、天候や気温に合わせて"出汁"を取るこだわりのお店です。

和食レストランから出汁がスピンオフ

ある日、店頭で出汁パックを販売されたところ、予想以上に反響があったことをきっかけに、同社ではもっと出汁の魅力を広めたいという想いが芽生えました。そして2022年、出汁に特化した「おだしのテーマパーク 京都離宮~おだしとだしまき~」をオープン!

店内のイートインスペースでは、同社の自慢のだしまきを食べることができ、お昼になれば予約のお客さまでいっぱいになるほどの人気です。

同社の代表取締役 加藤 拓也さまは上鳥羽支店 営業担当の上杉に「若い世代にも出汁の魅力を感じてほしい」という想いを打ち明けました。

この会話の中で、さらに「新商品のアイデアを若い世代に相談したい」という想いを聞いた上杉は、加藤社長の想いを叶えるため、当金庫が開催する近畿大学リエゾンセンターとの相談会への参加を提案しました。

代表取締役 加藤さま(左)、営業担当 上杉(中央)、常務取締役 宮永さま(右)

大学に届いた加藤社長の熱い想い

「近畿大学リエゾンセンター相談会」に参加することを決められた加藤社長。数十社を超える企業が「近畿大学リエゾンセンター相談会」に応募するほど人気であった中、加藤社長は「若い世代に出汁の魅力を広げたい」という熱い想いを大学側に伝えました。

その想いを同大学 農学部食品栄養学科の森島 真幸准教授が受け取られ、宮永常務が准教授と面談することに。面談には上杉も立ち会い、つなぎ手として伴走しました。そして、森島准教授ゼミの学生との「産学連携プロジェクト」が始まったのです。

出汁のプロと栄養のプロがタッグを組んだ新商品の完成

森島准教授のゼミでは朝食欠食率や食事摂取による健康問題について研究されていました。

同大学農学部の学生257名を対象に行った調査では、ほぼ100%の学生が朝食の重要性を認識しているものの、実際には約3割が朝食を抜いていることが明らかになっていました。この調査結果をもとに、「学生が食べたくなる朝食とは」をテーマとして、同社とゼミの学生との新商品開発がスタートしました。

出汁のプロと栄養の専門家がタッグを組んだこのプロジェクト。約1年の歳月を経て、手軽に栄養を摂取できる出汁茶漬け『おだしとごはん』が完成しました。

出汁茶漬け『おだしとごはん』


インターシップ生として、京都芸術デザイン専門学校の学生が仕事を経験!

学生との関りが増える中で、加藤社長は「既存の商品も若者が手に取りやすいデザインに変更したい」という想いを上杉に伝えます。

上杉は加藤社長のその想いに応えようと、共創施設QUESTIONとのつながりを活かして、京都芸術デザイン専門学校の学生をご紹介しました。

加藤社長は学生にもメリットのある形で、学生から協力を得たいと考え、同校からインターンシップ生としてデザイナーを募集することに。その画期的な産学連携の案内に、多くの学生がプロジェクトに参画しました。

このプロジェクトでは、学生が考案したパッケージデザイン案を実際に商品として販売することが目指されました。そして、わずか9日間という短期間の中で、非常に完成度の高いデザインが提案され、学生にとっても社会経験のできる良い機会となりました。

インターンの中で学生が考えたパッケージデザイン

【このプロジェクトのポイント】
①優秀作品は商品化し店頭で販売
 商品化までのプロセスを体験できる。
②デザインに関する商業的効果の体験
 学生がデザインした商品の評価(売上) を実感してもらう。
③商品が好評であれば、次の展開も検討
 継続した取組になれば、学生のデザイン料等の収入となる可能性がある。
④新しい人材採用システムの可能性
 同社内にデザイン部を創設。雇用にまでつながる可能性があり、企業としても新しい採用の仕組みができる。

京都ポルタにて、さらなる飛躍!

2025年5月、同社は京都駅ビル2階“京都ポルタ”内「京名菓・名菜処亰(みやこ)」に、京都離宮 京都駅店を出店されました。

お店は、目の前でだしまき卵を焼く職人のパフォーマンスを見ることのできる名所として、人気を博しています。また、同社では美容分野へのチャレンジと、海外販路の開拓等を計画されており、出汁の可能性はますます広がっています。

当金庫は事業者同士のマッチングのみならず、学生の街“京都”という立地条件を活かした産学連携にも力を入れています。ぜひ一度お近くの店舗へご相談ください!

 


 

お客さまの声

近畿大学 准教授
森島 真幸さま(後列中央)

商品を実際に製造し販売する過程には、企画・提案の段階では気が付かなかった多くの課題があり、それらを一つずつ丁寧に、妥協することなく対応する力をこの研究を通して学生たちは学習できました。卒業研究で取り組んだ成果が、実装化され社会に還元されることは、学生、教員を問わず研究をする者としてはこの上ない喜びです。研究の成果が商品となり社会に貢献する機会をいただき、大変嬉しく思います。

近畿大学 森島ゼミ研究室
前田さん(前列左)
田中さん(後列右)

管理栄養士養成課程の学生として、減塩だけでなく乾燥野菜の栄養成分にも注目し、パッケージデザインにも工夫を凝らしました。プレメーズさまからの貴重な意見を取り入れ、新たな視点や工夫を学び、多くのことを吸収することができました。結果、多くの方に楽しんでいただける商品に仕上げることができました。

 


 

お客さまの声

株式会社プレメーズ
代表取締役 加藤 拓也さま

上杉さんは何気ない日常の会話から、私たちも把握していないニーズや漠然とした「やりたいこと」を形にしてくれる方です。上杉さんの細やかなサポートや積極的な提案は、私達が持っていた金融機関のイメージを大きく変えました。

学生とのつながりをつくるきっかけをいただいたり、QUESTIONをご紹介いただいたりしたおかげで視野も広がりました。

引き続きサポートをお願いします!


職員の声

コミュニティ・バンク京信
上杉 恭平

この産学連携のプロジェクトを通して、加藤社長に喜んでいただいたことはもちろん、学校の先生方からも「このプロジェクトは学生にとっても貴重な機会だったと思います。学生の成長を感じられました。」と嬉しいお言葉をいただきました。

今後も新しい事業を展開される事業者に寄り添い、ビジネスマッチングのみならず、産学連携に至るまでの橋渡しをしてまいります。

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