不便が当たり前になった生活環境を改善
2020年に流行が始まった新型コロナウイルス。未知のウイルスの感染拡大の影響で、外出自粛など行動制限を余儀なくされ、人との交流を図る機会は大きく減少しました。そんな中、安心して外出ができるように、マスクの着用やテーブルにアクリル板を設置することで、対面での会話が必要な場合や金融機関、病院の窓口等での手続き、外食などを行える日々が戻りました。
しかし、アクリル板越しの会話は声が聞きとりにくく、コミュニケーションが取りづらいという問題を抱えています。特に金融機関や病院等の窓口では、周りを気にして小声になってしまい、よりコミュニケーションが取りづらくなっています。
この問題を解決するために立ち上がったのは、大津市のベンチャーIT企業 株式会社シザナックさまです。
2020年に設立された同社は、社員5人全員が67歳以上のシニアで構成。社員全員が大手企業の技術開発や営業の第一線で活躍した経歴を持つベテランぞろいです。代表取締役の大槻滋俊さま(67)は「会社員時代にしがらみがあってできなかった夢に挑戦したい」と起業し、コミュニケーションが取りづらい生活の環境改善に取り組みました。
金融機関という名の“実験室”の提供
同社は、アクリル板で落ちた会話の明瞭度を補うための装置「ピエゾ直接駆動ユニット」の開発を試みました。しかし、開発した装置の試作品を実証実験する場所がなく、困り果てておられました。
当金庫、西大津支店の園一はその様子を受け、何かお役に立てないかと考え、店内プロジェクトを立ち上げました。
西大津支店のロビーを「実験室」として提供し、装置が完成するまで、実証実験が行えるよう協力しました。さらに、お客さまの生の声を聴いてはどうかと提案し、当金庫のお客さまにアクリル板越しの実証実験にご協力いただき、アンケートを実施。そして、その内容を同社にフィードバックしました。
実証実験にご協力いただいた当金庫のお客さまからは、「重要な話を大きな声を出さずに済ますことができて安心できる。」「何度も確認しなくても、聞き取りやすい!」といったお声を聞くことができました。
お客さまの声
実証実験を体験された石﨑さま
実際に窓口で職員さんと会話をしましたが、それほど大きな声を出さなくても普通に会話ができました。アクリル板越しの会話はつい体を乗り出して話すことが多く、知らず知らずストレスを感じていると思います。その意味でもとても楽に会話ができました。
担当者の声
西大津支店(当時) 圓一
素晴らしい技術を生かすサポートをさせていただきました!
シザナックさまは、他にも浴室内事故防止のセンサー等、社会的意義のある技術を数多くお持ちです。ただ、コロナ禍で十分な実証実験ができず、せっかくの技術を活かしきれていない状況であり、私としては「もったいない」という思いから実証実験の場を提供させていただきました。今後も伴走させていただき、同社の素晴らしい技術を世に広げていただければ幸いです。
事業者さまの声
株式会社シザナック 代表取締役 大槻さま(右)
副社長 野本さま(左)
実証実験や販路拡大など、京信さんの協力に感謝しております!
西大津支店さんは当社に寄り添い、試作品ができるたびに店頭カウンターで試験を繰り返させてもらい、適切なアンプの音量、マイクとスピーカーの位置関係を検証し、商品化に結びつきました。お陰様で今年3月には特許も取得でき、去る6月23日NHKのテレビ番組「おはよう関西」でも取り上げられ、当社の製品が広く知られることになりました。販路開拓のためのサポートもいただき、当社の製品に興味をお持ちの医療関係事業者をご紹介いただくなど、とても感謝しています。