今回ご紹介するのは、全席が車いすになっているカフェ「Wheelchair cafe SPRING」。車いすを使われている方が快適にカフェで過ごせることはもちろん、一般のお客さまにも車いすに座って飲食をしてもらうことで、車いすのことをもっと知ってほしいという願いのもと運営されています。
カフェを運営される「株式会社サポートどれみ」の代表取締役 中村敦美さまは車いすのお客さまをゲストとしておもてなしすることを心掛けておられ、店内設備・備品も車いす目線で設計されています。そのカフェの開業に伴走し、度重なる難問に立ち向かった九条支店(当時)の営業担当・川口の取組をご紹介します。
日本人にもっと車いすに触れて欲しい
中村さまは、家事代行業、高齢者や身障者を対象とした旅行支援業をされています。そこで気がかりとなったことが、車いすの方が安心して過ごせるカフェが観光地に少ないことでした。
「街中で車いすの方が段差でお困りになっていても、手助けするのは大半が外国の方で、日本人はお手伝いすると、かえってご迷惑になるのではという遠慮があってなかなか手助けできない。多くの方に車いすに触れていただくことで、車いすの方を手助けするハードルを下げたい」とカフェ開業を志されました。
開業に必要な人材が見つからない!
カフェは、障害のある方が就労に必要な知識及び能力の向上のための訓練・支援を行う「就労継続支援B型事業所」であることを目指されていました。
ところが障害福祉サービス事業所を運営する際に必要な「サービス管理責任者」の資格を持った人材が見つからず、中村さま自身がその資格を取ろうかと悩まれるほどでした。
それを見た川口はここまで来て最後のピースが埋まらないことをとても悔しく思い、同支店のお取引先で「就労継続支援B型事業所」を運営される方に相談しました。するとカフェ勤務を希望されていたサービス管理責任者が奇跡的に見つかりました。
このマッチングにより、中村さまの事業は大きく前進しました。
クラウドファンディングを活用して車いすを調達!
車いすの調達にはクラウドファンディングを活用。返礼品としてランチ無料券や車いすのホイールカバーのデザインができるプランなどを用意することで支援を募りました。
カフェがオープンすると、ご支援くださった長野県のご一家が京都までご来店され、さらに子供用車いすの寄贈もしてくださいました。それはこのカフェの取組が京都以外の地域にも発信できていることを実感した瞬間でした。
中村さまは、「近所の方が気軽に来られて、会話を楽しめるコミュニティ・カフェのような存在でありたい」と今後の意気込みを話されています。
就労継続支援B型 とは
障害や年齢、体力などの理由で雇用契約を結んで働くことが困難な人が、就労の機会を得たり、就労に必要な知識や能力の向上のために就労訓練を受けたりすることができる障害福祉サービスです。
このカフェで提供される「みそぽん」こと味噌玉の製造工程は、比較的簡単な作業であるため、就労継続支援B型には適した作業となっています。
「みそぽん」は生味噌を使ったインスタントのお味噌汁の素で、見た目もかわいく、大人気の商品になりました。
Wheelchair cafe SPRING
公式サイト(外部サイトに移動します)https://cafe.spring-doremi.com/
Instagram (外部サイトに移動します)https://www.instagram.com/sp.cafespring/
お客さまの声
株式会社 サポートどれみ
代表取締役 中村 敦美さま
川口さんは当店オリジナル商品「みそぽん」の名付け親です。
何事も親身になってやってくださる方で、2年越しで探してもなかなか見つからなかった「サービス管理責任者」を探してくださり、川口さんのおかげでここは開業できました。
現在、全席車いすのお店は日本でここだけですが、これから観光地周辺にはこのようなお店を増やしていきたいです。
職員の声
コミュニティ・バンク京信
川口 晃司
事業の構想から新店舗開店まで途中様々な課題がありましたが、2年越しにやっとの想いで形になりました。
今回の第二創業は中村社長にとっても私にとっても一生忘れることのできない印象に残る物語となりました。
これを励みとして、今後さらにコミュニティ・バンクとしての役割を果たしていきたいと思います。