時代を先駆ける「織徽章ネーム・ワッペン」
京都を代表する紋織物"西陣織"。昭和51年に国の伝統的工芸品に指定されて以来、現在に至るまで日本の織物産業の象徴的な存在としてその輝きを放っています。
中梅織物株式会社さまは、昭和26年に西陣織ネーム製造業として創業されました。戦後間もない当時は、ほとんどの人が和服を着ていましたが、創業者の中村 梅次郎さまは、これからは洋装が主流になると予見。西陣織の織機を使用した「織徽章ネーム・ワッペン」の製造を開始しました。

伝統産業を襲う環境の変化
梅次郎さまの読み通り、「織徽章ネーム・ワッペン」は高度経済成長期の波に乗り、さらにオーダーメイドスーツの需要増加も伴い、安定した業績となっていました。
しかし、1990年代に入るとネームやワッペンをプリントで大量生産する企業が現れ、また、海外からも安価な製品が流入してくるなど厳しい状況となりました。
事業のバトンは父から娘へ
時は流れ、2023年。ご高齢となった先代に代わり、既存事業に依存しないビジネスモデルの構築と、女性経営者ならではの新たな視点での経営にチャレンジするべく、娘である現代表の木下 仁美さまが事業承継されました。
また、服飾デザインを専門とする妹の中村 睦子さまもデザイナーとして事業に参画。小ロットでもこだわりのあるデザインを採用することで、他社との差別化を図りつつ、西陣織ならではの特徴を活かした、洗練された製品作りを目指されています。

そんな木下さまに当金庫鞍馬口支店 営業担当の西川がやさしくも厳しいアドバイスを行い、新たな事業展開に伴走したストーリーをご紹介します。
営業担当者の目利き力
2021年から中梅織物株式会社さまの担当であった西川は、同社へ訪問を重ねる中で織物に魅了され、「せっかく綺麗な織物なのだから、もっと世に出さないともったいない」と感じていました。 木下さまとの面談で、「新たな事業展開に向けて、設備投資をしたい」というご要望を聞き、事業承継・引継ぎ補助金の申請、さらに事業再構築補助金申請をお手伝い。どちらも無事に採択となり、木下さまの思い描く新たな事業展開のスタートラインに立つことができました。



ブランド力アップを目指して
西川は訪問の都度、当金庫主催のセミナーやイベントをご案内。中でも自信を持ってご提案したのが「QUESTION価値創造セミナー」です。
「QUESTION価値創造セミナー」とは当金庫の共創施設QUESTIONで開催される、個人・法人の皆さまに生活や事業に関するタイムリーな情報をご提供し、くらしやビジネスをサポートするためのセミナーシリーズです。
これには木下さまも非常に興味を持たれ、すぐにお申込みいただきました。同セミナーに登壇された株式会社SECAIさまのマーケティングやブランディングの手法に感銘を受けられた木下さま。
さらに、その出会いがご縁となり、SECAIさまを通じて雑誌「ELLE JAPON」の付録の企画が舞い込みました。雑誌の発売後は、各方面から問い合わせが急増し、認知度が急上昇。西陣織の可能性を肌で感じる機会となりました。
問い合わせの増加に対して、同社では自社の技術や商品を訴求できるWEBページのリニューアルや、販路拡大を目指すにあたってのECサイトの開設が急務となりました。
そこで西川が紹介した「 事業再構築補助金」を活用することで、WEBサイトの改修とECサイトの開設が可能に。同社のブランド力向上につながりました。
同社HP▶https://www.nakaume.com

ビジネスマッチングで確信した商品の可能性
さらに西川は、金庫内のビジネスマッチング掲示板を通して、周年ノベルティの制作を検討しておられた株式会社オークさまをご紹介。同社の社長自らが工場や織物を見学される中、「西陣織のワインラベル」に関心を持っていただき、成約となりました。記念ワインのラベルは、大事な社名ロゴと大切なお客さまへの感謝のメッセージが織り込まれたオリジナル。このビジネスマッチングを経て、木下さまは自社商品の新たな可能性を感じました。


株式会社オークさまとのビジネスマッチングで完成した「西陣織のワインラベル」
京都を代表する伝統産業である西陣織。ライフスタイルの変化や後継者の育成等の課題を抱えていますが、当金庫はあらゆる人材、ツールを駆使して新たな事業展開のお手伝いをしてまいります。
お客さまの声
中梅織物株式会社
(右)代表取締役 木下 仁美 さま
(左)デザイナー 中村 睦子 さま

西川さんからはたくさんのセミナーの案内をいただきました。特にSECAIさんのセミナーは「これは絶対行きましょう」と言っていただいたのを覚えています。
西川さんは私にとっては怖い存在(笑)ですが、その分いつも当社のことを真剣に考えていただいています。
これからもよろしくお願いいたします。
職員の声
コミュニティ・バンク京信
西川 優也

木下さまはアトツギ経営者として、創業から培った技術や経験を活かした新たな事業を、日々模索されていました。
バイタリティ溢れる木下さまに何かサポートができないかと、あらゆるご提案を行って参りました。
これからも「リレーションシップインパクト」を意識しながら、あらゆる事業者さまに伴走支援を続けていきます。