日本一サステナブルな

ダンボール会社を目指す

◇洛西紙工 株式会社◇キラリと光るS認証企業 Vol.6

コミュニティ・バンク京信では、ソーシャル企業認証制度 S認証」(S認証)の認証取得をサポートするSCA(ソーシャル企業認証アドバイザー)としての活動を行っています。

S認証は、一般社団法人 ソーシャル企業認証機構が運営する企業認証制度。社会課題の解決やESG経営を目指す企業に対し、経営方針や事業内容、社会的インパクトなどを基準に、評価・認証を行います。

この「キラリと光るS認証企業」シリーズでは、そんな「S認証」を取得した企業や、それをサポートしたSCAである当金庫職員の取組をご紹介します!


Vol.6 洛西紙工 株式会社

今回ご紹介する洛西紙工 株式会社さまは、京都市西京区でダンボールケースの製造販売を営む会社です。

1960年の創業以来、地域に根差した営業を続けてこられた同社は、販売先のほとんどが京都の企業で構成されています。
そんな同社の理念は、物流や暮らしを支えるダンボール事業を通じて、関わる人の幸せを最大化し、持続可能な資源循環型社会の実現に貢献することです。

▼洛西紙工さまの公式webサイトはこちら
https://rakusaishikou.com/

ダンボールの更なる可能性

洛西紙工さまのソーシャルな取組として代表的なものは、家具などの什器をダンボールで製造することです。
ダンボールはリサイクルによって95%が再利用され、再度ダンボールとして生まれ変わる資源循環性の高い素材です。「そのような特性を持つダンボールがさまざまな用途で活用されることは、資源循環型社会への貢献に直結する」と、同社の取締役である小田さまは考えています。

小田さまは住宅設備会社で勤務されたのち、家業である同社の後継者として入社。それまではダンボールに対して特別な想いはお持ちではなかったそうですが、あることをきっかけに「ダンボールは物を運ぶ外装箱以外に、今よりもっと私たちの生活を支えるサステナブルな素材になれるのではないか」という、イメージが湧き出てきました。

そのきっかけとは、地域のイベントに出展された際の出来事。子どもたちがダンボールの端材を使って家や車など、さまざまな身の周りのモノを作っている姿を目の当たりにし、「ダンボールは、単なる外装箱ではなく、多くの可能性を秘めている素材である。」と、感じたのです。

サステナブルな新事業

そのイメージを実現させるために、洛西紙工では「強化ダンボール」という新しい素材を取り入れ、外装箱以外の設計企画を新事業としてスタート。
この強化ダンボールは、普通のダンボールよりも固く強い紙で作られており、叩いたり押したりしても凹まない素材です。

同社ではそれを活かして、モノを捨てずに循環させる取組を実施。具体的には、木材やスチール製の梱包材や、イベントで使用する什器などの、これまで別の素材で作られてきた製品を、ダンボール製に置き換える提案を行っています。

他にも、さまざまな製作依頼に対応するために、同社は取引先各社の要望に合わせた製品を小ロットから対応。当金庫 物集女支店の窓口でも、チラシやタブレットを設置するためのボードを製作していただきました。

チラシを設置するボード
タブレットを置くボード

また、この新事業は従業員のモチベーションアップにも繋がっています。
小田さまが入社されたころ、社内には「ダンボールを量産し、一つでも多く販売するために手を動かすことが正しい」という風潮があったそうです。それに違和感を覚えた小田さまは「自身で手掛けたモノが社会に出て、評価される」という体験を、製作する従業員に感じて欲しいという想いから、この新事業を始められたのでした。そのような体験を通して、ただ作るだけの職場から、やりがいを感じることができる職場になることを目指されています。

ダンボール端材を使った知育キット

洛西紙工さまのダンボールは、資源循環社会の形成だけでなく教育の分野でも社会に貢献しています。
それが同社が製作した知育キット「SDKids(エスディーキッズ)京都版」です。

同社は、以前は製造工程で発生するダンボールの端材を全てリサイクルに回しており、リサイクルの他に有効活用できる方法はないかと長年リサーチされていました。

そんなときに、出会われたのがダンボールの端材をそのままケースに詰めた知育キット「SDKids」。

この製造会社である大手ダンボールメーカーとコラボレーションし、パッケージデザインや端材内容を京都らしく一新したのが「SDKids京都版」です。

また、この知育キットには同社のダンボールだけでなく、京都の老舗紙機メーカーから取り寄せた世界中の希少な紙端材や、老舗印刷会社からでる紙の切れ端なども提供してもらい、それらをランダムに入れています。

この知育キットの製造により「答えのないモノを作る過程を楽しむことで、子どもたちの創造性が育まれる。そして、端材でつくったものを大切にすることで、資源循環の大切さを感じてもらうこともできる」と、小田さまは考えておられます。
既に、この知育キットを教材とした環境教育・SDGs教育のワークショップを各所で展開されています。

次世代の人材育成

洛西紙工さまは、次世代の若者たちの人材育成にも取り組まれています。
同社は、NPO法人グローカル人材開発センターと連携した「地域企業と連携した次代の京都の担い手育成事業」に参画。
京都の大学生15名程と課題解決型学習を通じて「企業の魅力や特徴を活かしたSDGsの取り組み」をテーマに、さまざまな解決策を考案されました。

現在はその案のうちの一つ「学生マンションにダンボール家具を導入するプロジェクト」の実現に向けて取り組まれています。このプロジェクトは、学生向けのマンションに、ダンボール家具をセットにしたパッケージを提供するというもので、地域に根差した不動産業者と提携や協業をしながら展開をしていく予定です。

同社は、このような取組や地域の学校での環境教育に積極的に取り組み、若者世代の環境意識向上に努めています。

強化ダンボールで製作したゴミ箱とハンガーラック

目指すのは「価値のある企業」

今後、洛西紙工さまは、防災・知育・福祉の分野においてもダンボールを活用し、災害時のインフラとなる商品などを開発していきたいと考えておられます。
このような取組を通じて「取引先のお客さまだけでなく、地域の人にとってなくてはならない会社」であり、「洛西紙工が無くなってしまうと、社会にとってマイナスになる」と言ってもらえるような、社会にとって価値のある企業を目指されています。


お客さまの声

洛西紙工 株式会社
取締役 小田 智英 さま

担当者の上野さんのおかげで、このような認証を取得することができました。
他にも、京信人材バンクを紹介していただき、新しい働き方にチャレンジし、伴走していただきました。その関係からグローカル人材開発センターさんもご紹介していただき、学生と繋がりを持つこともできました。このような関係作りができたのは、京都信用金庫の皆さまのおかげだと思っています。

今後、さらにS認証企業が広がれば地域や社会がもっと良くなっていくと思いますし、ソーシャルな意識を持った企業が増えていけばいいなとも思っています。
同じような想いや考えをもった企業同士が繋がることで、新たな価値が生まれる可能性にとてもワクワクしています。


職員の声

京都信用金庫 物集女支店(現本部)
ソーシャル企業認証アドバイザー(SCA)

上野 彰吾

小田さまの「これまでのダンボールを量産する業務だけではなく、地域の人々や社会にとって必要とされるような取組をしていきたい。」という想いを知り、その第一歩としてS認証をご案内しました。

小田さまとは、何度もやりとりを重ね申請に至ったことで、今まで以上に同社の事業や想いやニーズをより深く理解することができ、また、さまざまなサポートをオール京信で実現することもできました。

ソーシャルな取組は今の社会に求められていることではありますが、誰にでもS認証を案内するのではなく、その企業にS認証を案内する理由を、自分の中に腹落ちさせてからお声掛けすることを日頃から大切にしています。

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