コミュニティ・バンク京信では、「ソーシャル企業認証制度 S認証」(S認証)の認証取得をサポートするSCA(ソーシャル企業認証アドバイザー)としての活動を行っています。
S認証は、一般社団法人 ソーシャル企業認証機構が運営する企業認証制度。社会課題の解決やESG経営を目指す企業に対し、経営方針や事業内容、社会的インパクトなどを基準に、評価・認証を行います。
この「キラリと光るS認証企業」シリーズでは、そんな「S認証」を取得した企業や、それをサポートしたSCAである当金庫職員の取組をご紹介します!
Vol.4 株式会社 グランディール
株式会社 グランディールさまは、京都市伏見区で放課後等デイサービス「あさひkids倶楽部」を運営する会社です。
この「あさひkids倶楽部」には、発達障がいを抱える小学生から高校生までの子どもたちが通っています。同施設の特徴は、子どもたち一人ひとりに合った療育を行い、子どもたちの将来を見据えた自立支援を目指して取り組まれている点にあります。
原点は施設長の熱い想い
この施設が運営を開始したのは2015年のこと。その原点は、施設長 若林さまが小学生の頃に抱いた「人を思いやることのできる大人になりたい」という想いでした。
自身のなりたい大人になるために、若林さまが選択されたのは介護福祉士という道でした。しかし、介護福祉士として人を思いやり、人のために働いていくなかで、若林さまは「安定しない生活」という壁にぶつかりました。当時の収入は想像よりも少なく、若林さまは生活が苦しいなかで人に優しくする、思いやるということが難しくなっていたのです。
この経験のなかで、若林さまは「自分が笑顔じゃないと、他人を笑顔にすることが出来ない。」そして「自分に余裕がないと、他人にもきつく当たってしまう。」ということを身に染みて感じておられました。
この環境を変えるため、若林さまは新しく接骨院での勤務をスタートし、その後独立。
そんなとき、患者さまとの会話のなかで『放課後等デイサービス』という福祉事業があることを知られました。
詳しく話を聞くなかで、これこそが自身の「人を思いやることのできる大人になりたい」という想いに適うものだと確信された若林さまは、立ち上げた接骨院を閉め『放課後等デイサービス』を開業することを決意。
「福祉に携わりたい」という想いを変わらず持ち続けていたことや、知的障がいを抱えた親戚がいることが重なり、「障がいのある子どもたちの居場所を作ってあげたい」という想いが芽生えたのでした。
▼あさひkids倶楽部さまのwebサイトはこちら
https://asahi-kids-club.jimdofree.com/
子ども一人ひとりに寄り添う
あさひkids倶楽部では放課後や夏休みなどの長期休暇に子どもたちを預かり、ご家族と一緒に成長や発達に向けた療育活動を行っています。
同施設で取り組む療育カリキュラムは、
・運動機能を高める
・集中力や手先の器用さを養う
・子どもたちの得意なことや自主性を伸ばす
・聞く力を伸ばす
など、子どもたちの成長や能力の向上を目的として、曜日ごとに療育内容を設定。
これらは、子どもたちの得意・不得意を考慮しながらスタッフの方たちが考えた同施設オリジナルのものです。
子どもによって障がいの重軽度は異なるため、同施設では子どもたち一人ひとりに寄り添うことを大切にされています。その子自身に合った療育活動を行うためにも、書籍や事例をもとに内容を考えるのではなく、子どもたち一人ひとりを❝見て❞療育活動の内容を考え、取り組まれています。
ただ学ぶだけでなく、休日には公園などに出かけたり、クリスマスパーティーなどの季節イベントを開催。子どもたちに四季を感じてもらうための時間も作っています。
ご家族の声を聞き、反映させる
あさひkids倶楽部では子どもたちに寄り添うだけでなく、ご家族に寄り添い声を聞くことも大切にされています。
多様な想いを抱え、子どもの成長を見守るご家族に安心していただけるよう、さまざまな工夫をされています。
その一つが、子どもたちの様子をご家族に伝えることです。子どもたちの様子を送迎の際に伝えるほかに、保護者会で動画や写真を使用し、より分かりやすく子どもたちの日々の様子を伝えています。
また、同施設のホームページでは毎日ブログを更新。一日、子どもたちがどのようにして過ごしていたのかを写真付きで紹介しています。
このようなきめ細やかなご家族への配慮が、同施設に安心して子どもたちを預けることができる理由になっています。
他にも、モニタリングをしながら一人ひとりに合った支援計画を策定していることも、同施設が信頼を得ている理由です。
同施設では、半年に一回モニタリングを実施。ご家族の声を聞き、それを反映できるように支援計画を立てておられます。その結果、定期的に実施されている「保護者アンケート」では、96%の方が同施設の支援内容などに満足していると回答されています。
従業員の幸せが仕事につながる
「障がいのある子どもたちを支援したい」という想いからあさひkids倶楽部を立ち上げた若林さまには、もう一つ大切にしていることがあります。それは、「スタッフたちの生活と幸せ」です。
少ない給与により苦しい生活を過ごされていた自身の経験から、「スタッフが幸せじゃないと子どもたちに適切な療育を行えない」そして「スタッフのモチベーションも上がらない」と考えておられる若林さま。少しでもスタッフの方たちが安心して暮らせるよう、給与や待遇の改善に向け奮闘されています。
障がいを抱えた子どもたちとそのご家族の支援や幸せだけでなく、ともに働く従業員の幸せも考え、若林さまはこの事業の更なる発展に向けて専務取締役である伊木さまと取り組まれています。
子どもたちが大人になるまで見守りたい
現在、若林さまは、子どもたちの人生に寄り添い、より長期的に支援するために「就労支援事業」の立ち上げも進めておられます。
子どもたちは高校生になると、同施設を卒業します。この新規事業は、「この施設を卒業しても、子どもたちが大人になるまで見守っていきたい。」という従業員たちの想いと、「この施設を卒業した後が心配。」というご家族の声を実現させるためのものです。
今後は、放課後等デイサービスから就労までを支援し、障がいを持つ子どもたちがより多くの選択肢の中で充実した生活を送れるようにすることを目指しておられます。
お客さまの声
株式会社 グランディール
代表取締役社長 兼 施設長 若林 哲郎 さま
京都市の≪ワーク・ライフ・バランス推進企業認証制度≫を取得していることもあり、北伏見支店の北澤さんからS認証の案内を受けたときに、「申請してみよう」と思いました。社会にとっていいことをしている認識は、あまり持っていませんでしたが、このS認証をきっかけに対外的にも認証を取得しているアピールをしていきたいと思います。
北澤さんが私たちの営業担当になってから、この施設が変わりました。
新しく始める就労支援事業を始めると決めたときにも、北澤さんがいろいろと動いてくれて、いろんな人と会わせてくれたおかげで「就業支援事業に挑戦できる!」と感じました。
本当に良い営業担当者に出会えたと思っています。
今後は、就労支援やMA事業、地方展開などにも取り組みながら、基盤を大きくし「子どもたちの幸せ」と「スタッフたちの幸せ」を叶えていきたいと思います。
株式会社 グランディール
専務取締役 兼 児童指導員 伊木 奈央さま
私は子ども一人ひとりに向き合って関わっていける今の仕事に魅力を感じ、株式会社グランディールに入社しました。
入社して7年になりますが、その間に子どもたちも大きくなり、将来を考える時期となりました。そのタイミングで京信の北澤さんが担当になられ、社長の話を聞いて積極的に協力してくださったおかげで、たくさんのご縁に繋がりました。
このご縁を大切にしつつ、次の目標「就労継続支援」も実現させることで、会社の発展にも繋げていきたいと思います。
私自身も子どもたちと一緒にもっと成長していき、社長の想いも継いでいきたいと思っています。
職員の声
京都信用金庫 北伏見支店
ソーシャル企業認証アドバイザー(SCA)
北澤 可唯
あさひkids倶楽部さまの取組内容や今後挑戦しようとされていることをお伺いして、S認証に当てはまると思いました。
若林さまはとても熱い方で子どもたち、ご家族、スタッフの皆さんが幸せになれるよう日々工夫を凝らして事業を営んでおられます。ですが、社会的に良いことをしているという認識をお持ちではありませんでした。
S認証を取得し公表することで、会社にとってメリットがあると思い、また若林さま自身にも自社の良さを再認識していただけると思いS認証を案内しました。
S認証を取得することは、社会的に認められているというアピールになると考えており、どのような企業にもソーシャルに繋がる取組はあると考えています。
これからも社長からお伺いする事業内容の中から、隠れたソーシャルな取組を見つけ、S認証に繋がるヒントを探していきたいと思います。