民間 × 行政で

地域のお困りごとを解決!

【京都市×京信】人とつながり、まちを元気にする研修

コミュニティ・バンク京信(京都信用金庫)は2021年6月、京都市と「多様な主体の協働による社会課題・地域課題の解決に向けた連携協定~QUESTION活用による地域づくりを目指して!!~」を締結しました。

この連携協定はその名の通り、京都市役所の斜め向かいに位置する当金庫の共創施設QUESTION」でのタウンミーティングを基軸として、安心して暮らせるまちづくりや、地域におけるソーシャルマインド(社会的な意識)の醸成、そして両者の人事交流によるイノベーティブ人材の育成などを目指すものです。

今回は、そんな京都市との連携協定に基づく取組のひとつとして開催された合同研修「人とつながり、まちを元気にする コミュニティナース研修」の事例をご紹介します。


民間と行政の視点をシェア

今回の研修の目的の一つは、官民が連携して地域の課題解決にあたるために、職員同士のコミュニティを形成すること。そこでまず、お互いの取組を知り、理解を深めるために、それぞれの代表者が自分たちの特徴的な取組についてのプレゼンテーションを行いました。

まず当金庫からは、今回の研修の会場でもある、地域の「問い」を解決する共創施設「QUESTION」、そしてこれまで以上に地域社会の課題解決にコミットメントする店舗「課題解決型店舗」の取組を発表。
「民間」の立場から地域課題にアプローチするための体制や工夫について、現場で活躍する若手職員自ら説明しました。

次に京都市の職員さまからは、伝統と芸術の街である京都ならではの取組として、世界のクリエイターを京都に招き、滞在してもらう取組「*** in Residence Kyoto」(アスタリスク・イン・レジデンス 京都)について発表いただきました。

京都市ではこの取組を通じて、京都の人々と海外のクリエイターの双方に異文化交流を通じた創造を促すとともに、京都、ひいては日本の文化を海外に発信することを目指されています。

このような素晴らしい取組にも、どのように地域住民からの理解を得るか、どうすれば持続可能な形で継続していけるかなどの課題があることをお話いただき、「行政」ならではの視点で地域課題の解決について考えることができる時間となりました。

人とつながり、まちを元気にする

後半では、株式会社CNCの山元さまを講師に迎え「コミュニティナース研修」が行われました。

「コミュニティナース・カンパニー」を意味する社名を冠したCNCでは、「地域(コミュニティ)の人の暮らしの身近な存在として『毎日の嬉しいや楽しい』『心と身体の健康と安心』を住民(コミュニティ)と一緒につくっていく」ことを「コミュニティナーシング」と定義。
その実践者である「コミュニティナース」を育成することに取り組まれています。

CNCの山元さま

研修はグループワークを交えた対話形式で進行し、様々なテーマについてディスカッションが行われました。
そのなかで特徴的だったのは、民間と行政で、仕事内容も様々な参加者が交わることにより、様々な気付きが生まれたことです。

例えば、身の回りの「最近少し様子が気になっている人」というテーマでは、家族、来店されるお客さま、同僚、地域住民など、参加者それぞれの視点から様々な対象が挙げられました。
そして、「そのような人たちに何ができるか」というディスカッションでも、立場や経験、普段の仕事内容などによってアイデアは様々で、「知識や人脈を持ち寄って考えることの大切さを実感した」という声も聞かれました。

「おせっかい」を見つめなおす

今回の研修では、二つのキーワードがたびたび登場しました。「おせっかい」「協働」です。

コミュニティナーシングにおいては「おせっかい」、つまり「対象のニーズを感じ取り、率先して喜ぶこと、必要とすることを提案すること」が大切とされています。

セミナーではそのために必要な「天使の聴き方」(いわゆる「傾聴」)や「IDCAサイクル」といった考え方・メソッドが紹介されました。

このような学びは、「おせっかいバンカー」として日々活動する当金庫職員にとって、新たな視点を得ることにつながったのではないでしょうか。

「天使の聴き方」実践ワークの様子

コミュニティナーシングを実践する上では、「仲間との協働」もポイントとなります。誰かのお悩みや課題に気が付いたとしても、その解決策を自分が持っているとは限りません。
だからこそコミュニティナース同士がつながり、一つのコミュニティとなって、みんなで協働して解決することが必要なのであり、これは当金庫の共創施設「QUESTION」の「寄ってたかって『問い』を解決する」というコンセプトにも通ずるものがあります。

参加者にとっては、このセミナーで生まれたつながりもまた、今後の活動を行う上での財産となった様子で、「お互いのリソースを活かして、地域をより良くしていきましょう」「京信さんを頼れば、地元の企業とのつながりも作ってもらえそうですね!」といったコミュニケーションが生まれていました。



お客さまの課題を解決する金融を実践する上でのスキル向上はもちろん、行政の方々とつながることで、新たなコミュニティを生むことにもつながった今回の研修。

最後は、コミュニティナースとして活動する上で大切にすること「コミュニティナース宣言」を唱和して締めくくりとなりました。


当金庫はこれからも、行政をはじめとした様々な主体と協働し、お客さまや地域の課題解決に取り組んでいきます。




京都市 行財政局 人事部 人事課
奥山 佑さま(写真右)
神余 咲希さま(同左)

社会課題・地域課題が複雑・多様化し、我々行政だけでは課題解決が困難な中、"コミュニティ・バンク"を体現している京信さんと本市が「一緒に研修をやろう!」となったことは必然だったように思います。

今回のテーマである"コミュニティーナーシング"という相互扶助の考えは、本市が目指す"すべての人に「居場所」と「出番」があるまち"とも親和性が高いものです。

「人」を「可能性」として捉え直し、強みや潜在的価値を見出すことで、生きる力が増すようにサポートするといったキーワードは両職員に響いたのではないでしょうか。これからも、お互いが持つ知恵やネットワークを生かし、新たな価値を創造できる場を一緒につくっていけたらと思います。

地域のソーシャルマインド醸成 その他の事例 PROJECTO METHOD