「社会をより良くしたい」

同じ想いを持った企業が繋がる

ウィズグループさまは、人材派遣会社・就労継続支援A型事業所・障がいのある方専用のグループホームを運営する企業グループです。障がいのある方に対する支援事業を積極的に運営している同グループは、2021年にソーシャル企業認証制度「S認証」を取得されました。

今回は、当金庫職員がウィズグループさまと、ある課題を抱えた他のS認証企業をマッチングさせ、課題解決へと導いただけでなく、同グループが目指している「ビジョン」に近づくためのお手伝いと社会課題に取り組む「輪」を広げたエピソードをご紹介します。

始まりは、社長の熱い想い

ウィズグループさまの始まりは、人材派遣会社である【ライフウィズ 株式会社】の設立に遡ります。
代表の佐々木さまは、同社を経営していくなかで2つの課題を感じていました。一つ目は、採用面接に来られる障がいのある方たちの就労先がなかなか見つからないこと。二つ目は、障がいのある方が安心して暮らしたり、働いたりできる環境や場所が少ないことでした。

「障がいのある方も就労先を見つけ、安心して働き続けることができる環境にしたい。」
この熱い想いから、佐々木さまは就労継続支援A型事業所【スマイルウィズ 株式会社】と、障がいのある方専用のグループホーム 【特定非営利活動法人 ステイウィズ】を設立しました。

この3社が密に連携を取ることによりウィズグループは、障がいのある方への積極的な支援を実現しています。
このような支援体制と、事業を進めていくなかで感じた社会課題を解決しようと動いた佐々木さまの姿勢が認められ、同グループはS認証を取得されました。

建物にはウィズグループ2社が入居

就労継続支援A型事業所【スマイルウィズ】

就労継続支援A型事業所とは、障がいのある方が雇用契約を結んだ上で、一定の支援がある職場で働くことができる福祉事業所のことです。

スマイルウィズさまでは、就労意欲がありながら一般の事業所での就労が難しい方へ、就労の機会を提供しています。また同社では、障がいのある方が業務を通じて就労に必要な知識や能力を向上させることを目指しており、明るい笑顔で社会復帰ができるように支援もしています。

アパレル店舗「SMILE1000」

そんなスマイルウィズさまでの主な業務は、アパレル雑貨の通販・店舗販売などに関わるもの。障がいのある方たちは、通販サイト用の商品撮影や画像加工、通販サイトのページ制作や、アパレル店舗「SMILE1000」での業務に携わられています。

同店舗は、2022年春にゼスト御池内にオープンしました。
この店舗で取り扱う商品のなかには、廃棄される洋服を仕入れ、タグを縫い直す「リネーム」という作業を一つひとつ手作業で行い、再販売しているものがあります。また、リネームの作業だけでなく、仕入れた際の検品作業も障がいのある方たちで分担して取り組み、店舗での販売までを行っています。

ゼスト御池内にある「スマイル1000」の店舗

仕事の『価値』と『やりがい』を感じて欲しい

そんなスマイルウィズの代表取締役である宮﨑さまと、ウィズグループ代表の佐々木さまには、「自分の仕事に『価値』と『やりがい』を感じて欲しい。」という共通の想いがありました。

SMILE1000の業務のような、一工夫することで廃棄予定の洋服に再び活躍の場を提供する業務は、環境問題の解決に貢献しているという仕事の『価値』や『やりがい』を感じてもらうことのできる仕事です。

お二人は、「このような仕事をもっと経験して欲しい!」そして、「自分たちが手を加えたモノが素敵な商品になるという『見える化』を実現させ、いま以上の『価値』と『やりがい』を感じて欲しい!」という熱い想いをお持ちでした。

そして、そのようなお二人の想いや同社のビジョンについて聞いていた丸太町支店 営業担当の山田は、どうにかお二人の想いを実現できないかと考えていました。

きっかけはビジネスマッチング

そんなとき、山田は社内ネットワーク「ビジネスマッチング掲示板」である投稿を見つけました。

それは、古着専門のアパレル店「SPINNS」を運営するヒューマンフォーラム 株式会社さまに関する投稿でした。
同社では、廃棄するモノにデザインやアイデアなどの付加価値を加え、別の新しいモノとして生まれ変わらせる「アップサイクル」の古着を販売しています。しかし掲示板への投稿によると、取扱量の増加により処理が追い付かなくなっており、服の解体や仕分け作業を請け負ってくれる業者を探しているという状況だったのです。

ビジネスマッチング掲示板のイメージ

また、同社はS認証の取得企業でもあり、「共感から新しい何かが生まれるのではないか」と考えた山田は、佐々木さまと宮﨑さまに同社とのマッチングについて説明。お二人とも「アップサイクルという取組で環境問題に貢献できる」「新しい領域であり、目に見える化が実現できることから従業員のやりがいに繋がる」という2点から、同社との引き合わせを快く承諾されました。

その後、山田はすぐに同社の営業担当者に連絡し、スマイルウィズさまと同社の商談が進みました。

S認証企業×S認証企業

後日、ヒューマンフォーラムさまにお会いした佐々木さまと宮崎さまは、大変驚かれました。
今までは、障がいのある方の働き方について自ら提案することが多かったお二人ですが、同社はそのような働き手にとってどのような環境が働きやすいのか、働き手にとっても、会社にとってもベストな状態で業務をしていくにはどうするべきかなど、さまざまな提案をしながら話を進めてくださったからです。

「目指すビジョンは違っても、『社会課題解決』という共通の理念を持つS認証企業同士だからこそ、同じ方向を見て仕事ができる。」それを深く実感したお二人は、同社の取組を一緒に進めていくことを決意されました。

『価値』と『やりがい』に繋がる新しい仕事

このマッチングを通して、スマイルウィズさまはヒューマンフォーラムさまの「古着をアップサイクルする取組」に参画しました。

スマイルウィズさまでは、汚れや破損のある古着を裁断し、それを異なる古着の生地とランダムに縫い合わせるパッチワーク生地をつくる作業を担っています。こうして出来上がった生地を、ヒューマンフォーラムさまが新しいデザインの洋服へとリメイクし、実際に店舗で販売することになりました。

作業をするスマイルウィズの方々
製作されたパッチワーク生地

自分たちが縫い合わせた生地が新しい洋服へと姿を変えることが目に見える。障がいのある方たちにとって何より嬉しいことであり、『やりがい』へと繋がりました。


また、この取組がNHK「クローズアップ現代」でテレビ放映されたことが、より『やりがい』とこの仕事の『価値』を感じてもらうきっかけとなりました。
テレビという媒体で放映されたことにより、障がいのある方のなかで、「この仕事が社会の役に立っている」という認識がより強くなったのです。

完成した洋服


今回のマッチングは、企業の抱える課題を解決しただけでなく、お客さまが目指すビジョンへのお手伝いと「社会課題解決」という同じ想いを持つ人たち同士を繋げ、新しくソーシャルな取組に尽力するコミュニティを作るきっかけにもなりました。

左より 当金庫職員 山田 ウィズグループ 佐々木さま スマイルウィズ株式会社 宮﨑さま

お客さまの声

ウィズグループ
代表 佐々木 隆吏さま

今回、ヒューマンフォーラムさまとマッチングさせていただいて、オシャレなお店で素敵な洋服を販売することを共有しながら、そして、同じ理想をみながら仕事できることが、本当に良かったと思います。

京信の山田さんは、僕たちの会社が何をしているのか、どんな想いで事業をしているのか、しつこいくらい質問してくれて、僕たちのことを表面的な数字だけでなく有機的に理解してくれています。

そんな風に、僕たちのことを理解する努力を普段からしてくれている山田さんだからこそ、今回のような「想いのシナジー」を生むマッチングができたと思います。

スマイルウィズ 株式会社 
代表取締役 宮﨑 則子さま

障がいのある方たちは、本当に一生懸命に仕事に取り組む人たちばかりなんですが、ヒューマンフォーラムさまと繋いでいただいて、みんなのやる気がより一層上がりました。

この仕事は、SDGsに繋がる仕事で、お給料もいただけて、技術も上がる、みんなにとっていい仕事だと思います。この仕事がよすぎて、ここを卒業して一般就労した子たちも、「こっちに戻りたい!」と言うほどの人気職です!

また、完成品を見て「これ僕が作ったやつだ!」と喜ぶ方も多く、みんなの笑顔が増えたなあ、と感じます。

本当にいい仕事をいただけました。山田さんには繋いでいただいて感謝です。

 


職員の声

京都信用金庫 丸太町支店
山田 拓平


ビジネスマッチングをきっかけに、スマイルウィズさまの目指している方向へのお手伝いができ、喜んでいただけたことは大変嬉しいです。
お客さまのご事業について、表面的な事業内容だけでなく、その根本にある「想い」や「ビジョン」まで深く理解することで、本当に喜んでいただけるマッチングに繋がると改めて感じました。

今回、事業内容は違っても社会課題解決という「共通の想い・理念」を持ったS認証企業さま同士の繋がりが、新たな価値の創造に繋がった事例に立ち会えて、私にとっても学びになりました。

金融支援と本業支援などさまざまな面からサポートし、取引先さまの想いに寄り添いながら、更なる発展に伴走していきたいと思います。

 

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