京都の和菓子文化を支え続けてきた老舗製粉所
有限会社朝日製粉所さまは、昭和22年に京都丹波の地で創業した、米粉や餅粉を製造する老舗の製粉所です。丹波の美しい自然の中で育ったお米「きぬひかり」を、日本に一台しかないという密閉型胴つき粉砕機で製粉することで、素材の持つ風味、味わい、色、栄養分をふんだんに活かした米粉を製造しています。
和菓子にも多く使われている同社の米粉は、金沢や島根県の松江と並び「日本三大和菓子処」に数えられる京都の和菓子文化を長く支えてきました。


コロナの影響はこんなところにも
しかし、近年、日本人の和菓子離れやライフスタイルの変化により、和菓子業界での米粉消費量は減少傾向に。さらにコロナ禍で、お茶会やお祭りなど季節の催事が軒並み中止となったことで、京都を訪れる観光客も激減し、お土産品の売上減少が同社に大打撃を与えました。
米粉の美味しさを伝えたい!
同社代表の吉田 将史さまと、2019年までパリで暮らしていた姉の奈帆さまは、コロナ禍前から自宅の敷地でマルシェを開催し、米粉で作ったパンやうどんを販売していました。
米粉は栄養価が高く、油の吸収率も低いため、揚げ物もヘルシーに仕上がる優れものです。また、グルテンフリーであるため、小麦アレルギーに悩まれる方にとっても、たいへん喜ばれる食品となっています。
しかし、米粉の使い方が分からず、活用法に悩んでいる方がいるのも一つの現状。そこで、同社は米粉のパンケーキミックスを開発し、提供を開始しました。販売を続ける中で、確かな手ごたえを感じたお二人。自社の業績をアップさせるには、「米粉の使い道を広げる新商品」が不可欠であると確信されました。
八木支店でプロジェクトを発足!「無添加米粉グラノーラ」の完成へ
この話を聞いた八木支店の営業担当 江畑は、「米粉を使った新商品開発プロジェクト」を立ち上げました。江畑はまず、同社の経営状況や課題を整理するために、京都信用保証協会さまの経営支援サービス(京都バリューアップサポート)を受けることを提案。そして、保証協会・中小企業診断士と一緒に、既に商品化に着手していた「無添加米粉グラノーラ」のブラッシュアップを行いました。

一方奈帆さまは、鹿児島県曽於市で麹スイーツ教室を主宰されている高校時代のご友人とSNSで連絡をとることに成功。実際に鹿児島県まで足を運び、グラノーラレシピの監修を受けました。そこから試行錯誤を重ねた末、ついに、グルテンフリーな「無添加米粉グラノーラ」が完成しました。
グラノーラは全部で3種類。メープルシロップ、ココナッツオイル、ドライフルーツやナッツなどのの素材を用いて、自然由来のやさしい味付けに仕上げました。また、亀岡支店の取引先である丹山酒造さまとマッチングを行い、人気商品の「京 糀あまざけ」を使うことで、地産地消にもつながりました。


クラウドファンディングプロジェクト「みっけ!kyoto」に参加
江畑はさらに、テストマーケティングの手段としてクラウドファンディングプロジェクト「みっけ!kyoto」への挑戦をご支援しました。
「みっけ!kyoto」とは、大丸京都店さまと当金庫が、京都の魅力向上に寄与する事業者を支援するために実施している応援プロジェクトです。このプロジェクトではクラウドファンディングと店舗展示の2つのチャネルを組み合わせて、京都の魅力をオンライン・オフラインの両面で消費者にお届けするサポートを展開しています。
同プロジェクトのクラウドファンディングに参加を決められたお二人。募集を開始すると、なんと半日で目標額を達成!これには、奈帆さまも驚きを隠せず「夕方に開始して、一晩寝て起きたら目標を達成していました。」と話されます。
グルテンフリー、無添加、砂糖不使用といった点が、生活スタイルを見直す50~60代の女性や健康志向の高い層に受け入れられ、「みっけ!kyoto」への参加は同社にとって大きな自信につながりました。

補助金でさらにグレードアップ!
購入者から大きな反響を受けた同社は、次に事業再構築補助金を導入しました。これは、ポストコロナに向けた事業再構築に挑戦する中小企業等を資金面から支援する施策で、申請書作成には江畑も協力しました。
そして無事に採択された後、下記計画の実行に向けて「無添加米粉グラノーラ」の量産体制構築に着手しました。
【グラノーラのグレードアップ計画】
①自宅敷地内の加工場を改築し、オーブンなどの調理機器の導入で手作業効率アップを図る
②パッケージデザイン、ホームページの一新、ECサイトを充実させる
③プレスリリース等、マーケティングを強化

販路拡大!米粉は最高級な朝食へ
その後、「無添加米粉グラノーラ」は東京のカフェでの取扱が始まり、雑誌にも掲載されました。また、ザ・リッツ・カールトン京都をはじめとするラグジュアリーホテルの朝食に採用され、短期間で販路が広がり始めます。
そして迎えた2024年1月、東京都渋谷区のカフェ PREMIER MAI(プルミエメ)にて米粉ファクトリーブランド「komekoiro(コメコイロ)」のプレス発表会を開催。大きな注目を浴びました。
「無添加米粉グラノーラ」の売れ行きは現在も好調で、業績もV字回復となりました。奈帆さまは「今後は直売できる販路、ラグジュアリーホテルの更なる開拓を目指します。」と力強く語ります。
当金庫はこれからもお客さまに寄り添い、課題解決を応援してまいります!
お客さまの声
有限会社朝日製粉所 取締役
吉田 将史 さま

江畑さんをはじめ、みなさんの後押しで始めたクラウドファンディングは、運命的なご縁もあって上手くいきました。
そのおかげで市場の反応を知ることができて、事業の方向性が決まりました。
今後は販路の拡大に全力を挙げていきます!
職員の声
コミュニティ・バンク京信
江畑 博文

コロナ禍で社長が悩まれていた時に、外部専門家の支援を提案しました。様々な方にサポートいただき、すべてがつながり、実現することができました。
今回の支援は私の金庫生活で、貴重な経験となりました。