金属アレルギー対応アクセサリーで

「誰もがおしゃれを楽しめる社会」をつくる

◇株式会社 瀧田◇ キラリと光るS認証企業 Vol.1

京都信用金庫では、ソーシャル企業認証制度 S認証」(S認証)の認証取得をサポートするSCA(ソーシャル企業認証アドバイザー)としての活動を行っています。

S認証は、一般社団法人 ソーシャル企業認証機構が運営する企業認証制度。社会課題の解決やESG経営を目指す企業に対し、経営方針や事業内容、社会的インパクトなどを基準に、評価・認証を行います。

この「キラリと光るS認証企業」シリーズでは、そんな「S認証」を取得した企業や、それをサポートしたSCAである当金庫職員の取組をご紹介します!


Vol.1 株式会社 瀧田

今回ご紹介する株式会社 瀧田さまは、1968年創業の京都企業で、ジュエリーやアクセサリーの開発・製造・販売・卸売と、時計類の修理を業とされています。

瀧田さまの製造されるオリジナルジュエリーは高いデザイン性が評価され、全国のジュエリーショップで取り扱われています。

また、金・プラチナ素材などの高価な商品だけでなく、ジュエリーで培ったデザイン力を活かして製造されるアクセサリーも幅広い世代の方からの人気を博しており、ネットショップでの販売も行われています。

▼瀧田さまの公式webサイトはこちら
https://www.takida-kyoto.jp/

「金属アレルギー」という社会課題

瀧田さまが取り組まれている"ソーシャル"な取組 ― それは、「低金属アレルギーアクセサリー」の開発・製造・販売。
同社が展開されているオリジナルブランド「ネゴツィエット(Negozietto)」「ステンレス316L」という、医療器具にも用いられる金属素材を使用したアクセサリーブランドです。
この素材は汗などによって金属成分が溶け出しにくい性質を持ち、金属アレルギーを発症しにくく、またアレルギーをお持ちの方でも症状が出にくいという特徴があります。

「ネゴツィエット」のイヤリングとネックレス

瀧田さまがこのようなアクセサリーの製造を開始されたのは、2008年のこと。
当時、金・プラチナといった貴金属の価格が高騰するなかで、多くのジュエリー・アクセサリーメーカーが、亜鉛合金や真鍮を素材として使用し始めていました。
それらの素材は貴金属と比較すると非常に安価で、若者でも手が届きやすいということで、またたく間に普及していきました。

ところがあるとき、同社の社長である瀧田博之さまは、取引先であるジュエリーショップからこんな声を聞くことになります。

「最近、金属アレルギーを発症してしまって、身に着けられるアクセサリーがないというお客さまが増えてきている。」

安価なアクセサリーが普及すると同時に、粗悪な素材やメッキを使用した商品も増え始め、溶け出した成分が原因で金属アレルギーを発症する人が急増していたのです。

家族がアレルギーを発症 — 一念発起して商品化へ

ジュエリーショップからそんな話を聞いて間もなく、瀧田社長にとってつらい出来事が起こります。
それは、最愛の娘さまが、他社のアクセサリーが原因で金属アレルギーを発症されたということ。

「アクセサリーショップが販売しているものだから、信用していたのに。」と悲しそうに話される娘さまの様子を見て、瀧田社長は一念発起。金属アレルギー対応のアクセサリーブランドを立ち上げることを決意されました。

根底にあったのは、「金属アレルギーをお持ちの人にも、そうでない人と同じように、おしゃれを楽しんでもらいたい」という強い想い。
そんな想いから「金属アレルギーになりにくい素材」を探し、試行錯誤を重ね、ようやく辿り着いたのが「ステンレス316L」でした。

「ステンレス316L」の特徴(瀧田さまのwebサイトより)

一歩先のアレルギー対応へ ― 第三者機関による検査を実施

実は、金属アレルギーに対応したアクセサリーを製造されているのは、瀧田さまだけではありません。しかし、一口に金属アレルギー対応といっても使用される素材は様々で、体質によってはアレルギー症状が出てしまうものも。

そんな状況に瀧田社長は、「業界全体が、消費者に正しい情報を伝えられていない」ことに大きな課題を感じておられました。

そこで取り組まれたのが、第三者機関による成分検査を実施し、その結果を公表するということ。
消費者に正しい情報を伝えることで、商品を選択する際の判断基準の一つにしてもらおうと考えられたのです。

すると瀧田さまのもとには「他のメーカーの金属アレルギー対応商品は症状が出たが、ネゴツィエットは大丈夫だった」「金属アレルギーのある家族にプレゼントして喜ばれた」といった声が多く寄せられるように。

こうして、「金属アレルギーをお持ちの人にもおしゃれを楽しんでもらいたい」という瀧田社長の想いが形になっていったのでした。

webサイトで公表されている試験成績報告書

業界全体で、消費者を守りたい

瀧田さまの取組は、自社製品に関することにとどまりません。
2021年11月、瀧田さまは「ステンレス316L」にちなんで、3月16日を「ネゴツィエットが金属アレルギーの事を知って欲しい日」とし、一般社団法人 日本記念日協会による記念日登録を受けられました。

これは、「正確な知識や対処法があまり知られていない金属アレルギーについて周知し、正しい知識を身に付けてもらいたい」という想いによるもの。
さらに今後は、同じアクセサリー業界の事業者に製品検査のノウハウを共有し、業界全体で消費者を守っていきたいとも考えておられます。

一人でも多くの、金属アレルギーに悩まれている方々に「おしゃれを楽しんでもらう」ため、瀧田さまの挑戦は続きます。


お客さまの声

株式会社 瀧田
代表取締役 瀧田 博之さま

ソーシャル企業認証アドバイザー(SCA)の大野さんから「S認証」を紹介いただき、より社会的に信頼をいただける企業となるための取組の一つとして申請することにしました。
アクセサリー事業を評価いただき、客観的な認証を受けるのは初めてのことなので、とても嬉しく思っています。

大野さんは、お金のことばかりでなく「事業のこと」を真剣に聞いて色々な提案をしてくれるので、「S認証」の申請もスムーズに行うことができました!

「金属アレルギー」についての正しい知識を持つ人はまだまだ少ないのが現状です。
「S認証」の取得をホームページなどで公表し、そこから生まれる出会いやつながりを大切にしながら、これからも「誰もがおしゃれを楽しめる」社会の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。


職員の声

京都信用金庫 本店
ソーシャル企業認証アドバイザー(SCA)

大野 浩貴

瀧田さまが金属アレルギー対応のアクセサリーの製造や、金属アレルギーに対する正しい知識を知ってもらうための取組をされていることを伺った際、「こんなに素晴らしい取組をされていることを、もっと多くの方に知ってもらいたい!」という想いが芽生え、「S認証」をご案内しました。

瀧田社長ご自身も自社の取組をどのように発信していくか悩んでおられたようで、とても前向きに取り組んでくださったので、私も精一杯サポートさせていただきました

地域には瀧田さまのように、社会や環境を良くする取組を行われている企業がたくさんあります。
そのような企業が自社の取組の価値に改めて気づき、発信できるよう、引き続きSCAとしてサポートしていきたいと思います。

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