株式会社 福井さまは、登山用リュックやウエストバッグのOEM(他社製品の受託製造)を中心に事業を展開する会社です。順調に事業を拡大していた同社ですが、新型コロナウイルスの影響で受託が不安定になるのではないかという不安を抱えておられました。
そこで同社の代表取締役である福井さまは自社の縫製技術を活かして、商品開発を行いプライベートブランドの立ち上げを決意。そんな福井さまの想いに寄り添い、商品化に向けて伴走したエピソードをご紹介します。
社長の想い
松井山手支店では、福井さまと個人としてのお取引は以前からあったものの、法人である株式会社 福井さまとのお取引が始まったのは2年前のこと。
その際に「今まではOEMでかばんを作ってきたけど、これからは自社製品を販売しながら、安定的な収益につなげていきたい。」という、社長の想いをお伺いしました。
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、受注が不安定になる可能性を感じた福井さまは、事業を安定的に継続していくことに対して不安を抱えておられたのです。
目指すのは"誰もが使いやすい抱っこ紐"
自社製品の製造を目指す福井さまには、作りたい商品がありました。それは育児には欠かせない商品の一つである「抱っこ紐」です。
当時、福井さまは第二子がお生まれになったばかりで、育児に奮闘する日々を過ごされていました。そんな日々の中で感じたのは「もっと使い勝手のいい抱っこ紐があればいいのに」ということ。
抱っこ紐は着け方が複雑なうえに、抱っこ紐の中で眠った赤ちゃんを起こさずに寝かせることがとても難しいなど、苦労する点が多々あったのです。
また、福井さまは「育児は大変だけど、それ以上に何にも代えがたい子どもとの想い出ができた」ことに、大変喜びを感じておられました。
男性が育児を意識する機会を作り、この喜びを多くの方に知って欲しいと思った福井さまは「男性がもっと積極的に育児ができる、誰もが使いやすい抱っこ紐」の開発を目指すことにされました。
松井山手支店のさまざまな支援
福井さまの想いをお伺いした松井山手支店では、この抱っこ紐の商品化に向けたチャレンジを応援するために「抱っこ紐プロジェクト」を発足。さまざまな取組で福井さまをご支援しました。
①アンケート調査による情報の提供
「自分が思う理想の抱っこ紐と、世間が思う抱っこ紐の理想は同じなのか?」という福井さまの疑問を解決するために、松井山手支店は当金庫職員(約1,600名)を対象に『抱っこ紐に関するアンケート』調査を実施。"理想の抱っこ紐"についての情報を集めようと考えました。
しかし、当金庫職員のみでは得られる情報は少なく、商品化に向けての情報量は不十分な状態でした。そこで、さらに多くの情報を集めるために近隣の保育園にも協力を依頼し、先生や保護者の方にもアンケート調査を行いました。
その後、アンケート結果を福井さまにお渡しすると「自分と同じ考えの部分は自信になりますし、違う意見はとても参考になります。ありがとうございました!」と、喜んでいただくことができました。そのデータを活用し、福井さまは抱っこ紐試作品第1号の製造へと取り掛かります。
②複数回にわたるモニター会の実施
多くの方の意見を参考に完成した試作品第1号の抱っこ紐。実際に着用した際の使い心地など利用者の生の声を聞くために、松井山手支店は数回にわたりモニター会を開催しました。モニター会には、当金庫職員のほか、アンケートにご協力いただいた保育園や来店されたお客さまにもご参加いただくことができました。
モニター会には福井さまも同席され、赤ちゃん人形を使って抱っこ紐の使用方法を実演。子どもを寝かしつけやすい前開きチャックなどの特徴を、参加者に直接説明されました。
また松井山手支店が開催したモニター会は、これだけではありません。なかなかリアルで集まることが難しいお客さまには抱っこ紐を送り、後日オンライン面談で着用の感想をいただいたのです。
今回のモニター会を通じて、ユーザーとなり得る方に実際に使用してもらうことにより、抱っこ紐の付け心地や着脱のしやすさなどの意見や改善案をいただくことができました。松井山手支店が集めたこれらの意見と、QUESTIONの紹介により繋がった子育ての専門家による知識が合わさり、福井さまが目指す商品の形に近付けるサポートとなったのでした。
③事業者同士をつなげるマッチング
使用者の生の声以外にも、抱っこ紐の商品化を目指していくなかで必要な知識や素材は多くありました。松井山手支店は、産後ケア施設や保冷剤製造業者、ECサイトの運営業者など、そのときどきに必要なノウハウを持った事業者を福井さまにご紹介。
他にも補助金の申請サポートや、クラウドファンディングを使った知名度のアップなど、商品化から販売においてさまざまなサポートを行いました。
④毎月のミーティング参加
松井山手支店が、このようなさまざまなサポートを必要なタイミングで提供できたことには、理由があります。
それは福井さまと定期的に連絡を取ったり、ECサイト制作のミーティングに毎月参加したりすることで常に福井さまの状況や考えを把握していたということ。
そうすることで「福井さまには今なにが必要なのか」をあらゆるタイミングで考え、提案することができました。
完成した商品「PairFook」
松井山手支店がサポートし続けたこの「抱っこ紐の商品化」は、約2年の歳月を掛けて実現しました。
そのブランド名は「PairFook」。
子どもと母親、子どもと父親などの「Pair(ペア)」の「Fook(架け橋)」になる、という意味があります。本来「架け橋」を意味する英単語は"Hook"ですが、福井さまの「自分自身が架け橋となり、育児を応援したい」という熱い想いを込めて、福井さまのイニシャルである"F"をとって"PairFook"としました。
このPairFookの抱っこ紐は、アンケートやモニター会から得た「抱っこ紐の課題」を解決し、なおかつオシャレにもこだわった商品です。男女ともに使用できるシンプルなデザインで、男性の積極的な育児を後押しする商品となっています。
PairFookブランドでは、抱っこ紐以外にも、抱っこ紐を卒業した子ども用の「抱っこバッグ」や、たくさん荷物が入る「ペアレンツトート」「ペアレンツバッグ」など、子育てには欠かせない商品をたくさん企画・販売しています。
長年、登山用バックなどを製造されてきた福井さまのノウハウが活かされたPairFookは、クラウドファンディングにも挑戦されています。
そんな福井さまへの、松井山手支店のサポートは続いていきます!
▼クラウドファンディングページ
Makuake:https://www.makuake.com/project/pairfook/
Campfire:https://camp-fire.jp/projects/view/753808/
(プロジェクト期間:2024年8月15日まで)
▼PairFook公式ホームページ
https://pairfook.jp/
お客さまの声
株式会社 福井
代表取締役 福井 隆博さま
私の想いを具体的に商品化できたのも、松井山手支店長の埜口さんと牧野さんが、人脈作りやセミナーの紹介、補助金の支援など、ありとあらゆる面で商品化までの2年間を本当に親身にご支援いただいたおかげです。
何の遠慮もなく、何でも相談できる雰囲気をお二人は作ってくれました。
この心遣いを無くしては、商品化は不可能でした。
今後も松井山手支店の皆さまの力をお借りして、産声を上げたこの事業を大事に育てていきたいと思っています。頼りにしています!
職員の声
コミュニティ・バンク京信
松井山手支店 埜口、牧野
福井社長より「理想の抱っこ紐を作って、商品化したい」と相談を受け、プロジェクトを立ち上げてから2年が経ちます。
アンケートで市場調査を行い、試作品を作り、検証し・・・を何度もなんども繰り返して、ようやく理想とする抱っこ紐が完成しました。
支援を行うなかで、福井社長の育児への姿勢、家族への深い愛情に何度も心を打たれました。
そんな福井社長の想いがたくさん詰まった抱っこ紐をはじめとする育児商品で、男性の育児や子育てをするすべての人に育児の素晴らしさが届くといいなと思います。
ようやく完成した育児商品がこれから販売されます。株式会社 福井さまを代表する商品となれるよう、今後もサポートを継続していきたいと思います!